
「学校には行けないのに、ゲームは何時間でもできる」
「朝から晩までゲームばかり。このままで大丈夫なのかな」
「いっそのことゲームを取り上げた方がいい?」
不登校の子どもが家でゲームばかりしていると、心配になりますよね。
学校に行っていないだけでも将来が不安なのに、勉強もせずにゲームをしている姿を見ると、「このまま何もしなくなってしまうのでは……」と焦ってしまう親御さんもいると思います。

私は、ゲームをしている時間が長いというだけで、すぐに「ゲームをやめさせなければ」と考えなくてもいいと思っています。
一方で、「不登校だから好きなだけゲームをさせておけばいい」ということでもありません。
大切なのは、ゲームの時間だけではなく、「今、この子はどんな状態なんだろう?」と生活全体を見てみることです。
この記事では、元不登校当事者であり、現在は臨床心理士として子どもと関わっている私の視点から、不登校の子どもがゲームばかりしているときに考えたいことや、親ができる関わりについてお話しします。
- 不登校になるとゲームの時間が増えることがある理由
- ゲームばかりでも見守っていいのか
- ゲームを取り上げた方がいいのか
- ゲームのルールを決めるときの考え方
- ゲームについて専門家への相談を考えたい状態
不登校の子がゲームばかり…このままで大丈夫?

最初にお伝えしたいのは、ゲームをしている時間だけで、その子の状態を判断するのは難しいということです。
不登校になったばかりで気持ちが大きく落ちているときは、何かひとつのことに没頭する時間が増えることがあります。
ゲームが好きな子なら、それがゲームになることもあります。
また、今の中学生にとって、友達とオンラインで遊んだり、動画を見たり、SNSを使ったりと、ゲームやスマホはとても身近なものです。
私が中学生だった頃とは、子どもとゲーム・スマホとの距離も変わっています。
そのため、「ゲームを長時間している=すぐに問題」と決めつけるのではなく、まずはゲーム以外の部分も含めて、その子の状態を見ることが大切だと私は考えています。
🏡関連記事:不登校の子どもは家でどう過ごす?状態に合わせた家での過ごし方

不登校になるとゲームの時間が増えることがあるのはなぜ?
学校へ行かなくなると、家で過ごす時間が一気に増えます。
その時間をどう過ごせばいいのかわからず、結果としてゲームをする時間が長くなることもあります。
ゲームをしている間は、つらいことから離れられることもある
不登校になったからといって、家にいれば何も考えずにのんびり過ごせるとは限りません。
- 「明日は学校に行けるかな」
- 「みんなは今ごろ授業を受けている」
- 「このままで大丈夫なのかな」
家にいても、そんなことを考えている子もいます。
気持ちが落ちているときほど、何かに没頭することでつらいことを考えずに済む場合もあります。
ゲームが好きな子にとっては、それがゲームなのかもしれません。
だからこそ、ゲーム時間だけを減らそうとする前に、「どうして今こんなにゲームをしているんだろう?」と考えてみることも大切です。
今の子どもにとってゲームやスマホは身近なもの
ゲームやスマホそのものを「悪いもの」と考えすぎないことも大切だと思っています。
今の子どもたちは、ゲームやスマホが身近にある環境で育っており、遊びだけではなく、友達とのコミュニケーションや好きなものを楽しむために使っていることもあります。
もちろん、長時間使うことで生活に影響することはあります。
でも、親世代の感覚だけで「ゲームをする時間が長すぎる」と判断するのではなく、今の子どもにとってどういう存在なのかを知ろうとすることも必要なのではないでしょうか。
ゲームだけでなく、スマホばかり見ていることが気になる親御さんもいると思います。
スマホを取り上げるべきか、家庭でどのように関わればよいのかについては、こちらの記事で詳しくお話ししています。
🌸関連記事:不登校の子のスマホは取り上げるべき?スマホばかりの中学生への親の対応

私はゲームではなく、スマホやテレビを見て過ごしていました

私自身、不登校だった頃にゲームをしていたわけではありません。
家ではスマホを見たり、テレビや好きな映像を見たりして過ごしていました。
暇つぶしという部分もありました。
でも、好きなものを見ている間は、学校やこれからのことを考えなくて済んでいた部分もあったのかもしれません。
親からスマホやテレビについて、強く制限された記憶もありません。
今振り返ると、何かを楽しんでいる時間は、学校とは違うところに気持ちを向けられる時間でもあったように思います。

だから私は、ゲームをしている子を見たときにも、「ゲームができるなら学校にも行けるでしょう」とは考えません。
学校へ行くことと、自宅という安心できる場所で好きなことをすることでは、必要になるエネルギーが違うからです。
不登校の子からゲームを取り上げた方がいい?
ゲームばかりしている姿を見ると、「一度取り上げた方がいいのでは?」と思うこともあるでしょう。

私は、ゲーム時間が長いという理由だけで、いきなり取り上げることを基本にはしなくてもいいと考えています。
特に気持ちが大きく落ちている時期には、ゲームが数少ない楽しみになっている可能性もあります。
その状態で突然取り上げれば、親子の衝突が大きくなることも考えられます。
ただし、これは「不登校なら何時間ゲームをしていても何も言わない方がいい」という意味ではありません。
親御さん自身が、「夜中まで大きな声でゲームをされると困る」「食事の時間だけは一緒に過ごしたい」などと感じることもあると思います。
親も一緒に暮らしている家族です。
子どもの気持ちだけでなく、親がどこまでなら受け入れられるのかも大切にしていいと私は思います。
ゲームのルールは子どもと一緒に考える
では、ゲームのルールはどうしたらいいのでしょうか。
まず考えてみてほしいのは、「わが家では、どこまでなら許容できるだろう?」ということです。
ゲームへの考え方も、生活スタイルも家庭によって違います。
一律に「1日○時間まで」と決める必要はありません。
そして、子どもが少し落ち着いて話せる状態になっているなら、親だけで決めるのではなく、一緒に相談してみる方法もあります。
たとえば、
- 「夜は何時くらいまでならできそう?」
- 「ご飯の時間はどうしようか」
- 「お互い困らない方法を考えてみない?」
と話してみる。
親の希望も伝えながら、本人の考えも聞いてみます。
ただ、これも子どもの状態を見ながらです。
心身ともにかなり疲れていて、話し合うこと自体が難しい時期なら、すぐに細かなルールを決めようとしなくてもいいと思います。
まず休む時期なのか、少しずつ生活を整えられる時期なのか、その段階によって、親の関わり方も変わってきます。
🌷関連記事:不登校の中学生に何をさせる?家での過ごし方と親ができること

ゲームの「時間」より生活全体を見てみる
「何時間までなら大丈夫ですか?」というのも気になるところですよね。

私は時間だけで線を引くより、ゲーム以外の生活がどうなっているかも一緒に見てほしいと思っています。
- 食事や睡眠などの日常生活はどうか。
- ゲームをしていないときの気持ちはどうか。
- 以前楽しんでいたことには興味を示すか。
- 家族と少し話す余裕はあるか。
- ゲームをめぐって感情が大きく不安定になることはないか。
たとえば夜遅くまでゲームをして昼夜逆転しているなら、ゲームだけではなく睡眠について考えた方がいい場合もあります。
ゲームだけを切り取るのではなく、その子の生活全体を見る。
そうすると、今何を優先したらいいのかが少し見えやすくなると思います。
「ゲームばかり=ゲーム依存」とは限らない
ゲームを長時間しているからといって、それだけで「ゲーム障害」と判断できるわけではありません。
WHO(世界保健機関)は、ICD-11でゲーム障害について、
- ゲームを自分でコントロールすることが難しくなる
- ほかの活動よりゲームを優先する
- 悪影響が生じてもゲームを続ける
- 本人の生活や家族、学校、社会生活などに大きな支障が出ている
といった状態を重視しています。
そのため、「1日○時間以上ゲームをしたら依存」と、家庭だけで時間を基準に決めつける必要はありません。
一方で、
- 生活するうえで必要なことまで難しくなっている
- ゲームに関することで非常に強い怒りが出る
- 心身の不調や生活への影響が続いている
- 本人自身もゲームとの付き合い方に困っている
といった状態が続いている場合には、ゲーム時間だけを家庭で管理しようとするより、医療機関などの専門家に相談することも選択肢になると思います。
診断することが親の役割ではありません。
「少し心配だな」と感じた段階で相談してみることも、子どもを支える方法のひとつです。
親も「ゲームを許していいの?」と一人で悩まなくていい
ゲームの問題は、親御さんにとってかなり迷いやすいテーマだと思います。

制限すれば子どもとぶつかる。
でも、何も言わなければ、「私がゲームを許しているから、この子は学校に戻れないのでは?」と不安になる。
どちらを選んでも心配になってしまうことがあります。
でも、ゲームを許したかどうかだけで、不登校の経過が決まるわけではありません。

「正しいゲーム時間」を探すより、今の子どもの状態と、家族が無理なく暮らせるバランスを探していく。
私はその方が大切だと考えています。
子どもを尊重することと、親がすべてを我慢することは同じではありません。
その家庭なりのちょうどいい距離を、少しずつ探していければいいのではないでしょうか。
まとめ|ゲームをやめさせる前に「今の子ども」を見てみる

不登校の子どもがゲームばかりしていると、「このままで大丈夫?」と不安になりますよね。

「ゲームを取り上げるか」「好きなだけさせるか」の二択ではなく、その子の状態と家族が無理なく暮らせるバランスを探していくことが大切です。
気持ちが落ちている時期なら、ゲームに没頭する時間が増えているのかもしれません。
少し元気が戻って話し合えるようになったら、家庭で許容できる範囲について一緒に考えてみる。
そして生活への大きな影響や精神的な不安定さが続くのであれば、家庭だけで抱え込まず専門家に相談する。
周りの家庭と同じルールでなくても大丈夫です。
子どもも親も無理をしすぎず、それぞれが自分らしく過ごせる方法を一緒に探していけたらいいのではないでしょうか。
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運営者プロフィール
管理人:Karan(臨床心理士/発達障害・元不登校当事者)
自身も不登校を経験し、現在は臨床心理士として子どもや保護者の支援に携わっています。
専門的な知識だけではなく、当事者だったからこそ感じることも大切にしながら、不登校の子どもと家族が「自分らしく」歩いていくためのヒントを発信しています。



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