子どもが不登校になると、学校を休んでいる間にも授業はどんどん進んでいきます。

「このまま勉強が遅れて大丈夫?」
「今から始めても、みんなに追いつける?」
「高校受験に間に合わなくなるのでは……」
そんな不安を感じる親御さんもいると思います。

でも、私は「クラスのみんなと同じところまで追いつくこと」だけを目標にしなくてもいいと思っています。
大切なのは、今どこまで理解できていて、これからどんな進路を考えているのか。
そこから、その子に必要な勉強を整理していくことです。
私自身、中学3年生以降は学校の授業をほとんど受けていません。
それでも塾で勉強を続けて普通高校に合格し、その後は通信制高校へ移りました。
大学受験では、自分の進路に必要な科目を中心に勉強しています。
今回は、そんな私自身の経験も交えながら、不登校の中学生の勉強の遅れをどう考え、どう取り戻していけばいいのかを一緒に考えていきます。
- 不登校でも勉強に追いつけるのか
- 学校で遅れた範囲をすべて勉強する必要があるのか
- 不登校から勉強を再開するとき、何から始めればいいのか
- 高校受験や進路に向けて、どの勉強を優先すればいいのか
- 勉強の遅れが心配な親が知っておきたいこと
不登校でも勉強は追いつける?

「不登校でも勉強に追いつけますか?」
これは、親御さんにとって気になるところだと思います。
ただ、「追いつく」といっても、その意味は一つではありません。
例えば、
- クラスと同じ単元まで進む
- 分からなくなったところを理解する
- 高校受験に必要な学力をつける
- 希望する進路に必要な科目を勉強する
では、必要な学習が違います。
また、不登校だった期間、それまでの学習状況、得意・苦手によっても変わります。
そのため、「○か月休んだから、○か月分を全部取り戻す」と単純に考えるのは難しいです。
学校を休んでいても、教科書や参考書、塾、オンライン教材など、学校以外で勉強する方法はあります。

だからまずは、「みんなに追いつく」ではなく、「この子は今どこまで分かっていて、これから何が必要なのか」を整理するところから考えてみてもいいと思います。
私は中3以降、学校の授業をほとんど受けていません
私自身、中学3年生以降は学校の授業を受けていません。
でも当時、「勉強が遅れてしまう」「みんなに追いつかなきゃ」と焦った記憶はあまりありません。
もともと勉強は比較的できる方だったこともあります。
それ以上に、その頃は勉強自体にあまり関心がなく、遅れを気にするような状態ではなかったのだと思います。
学校の授業は受けていませんでしたが、中学校の勉強は塾で5教科を学んでいました。
学校へ行っていない間も、塾ではまだ学んでいない範囲を進めながら、受験に向けた勉強もしていたと思います。
そして、普通高校を受験して合格しました。

私の場合は、学校の授業を受けていない期間があっても、学校以外で必要な学習を続けることで高校受験につなげることができました。
もちろん、これは私自身のケースです。
もともとの学習状況や不登校の期間、利用できる学習環境などによっても違うので、「学校へ行かなくても誰でも同じように追いつける」という意味ではありません。
高校では受験に必要な科目を中心に勉強しました

普通高校には合格しましたが、その後は高校へ行かなくなり、退学しました。
そして通信制高校へ移っています。
私が通った通信制高校では、教科書を見ながら取り組める問題が中心だったため、学校を休んでいたことによる勉強面での大きな苦労はありませんでした。
大学受験を考えるようになってからは、大学受験に必要な科目を中心に勉強しました。
反対に、それ以外の教科はほとんど勉強していません。
そのため、今でもよく分からない分野はたくさんあります。

今振り返れば、「普通に学校へ通って勉強を続けていたら、もっと違う大学を目指せたのかもしれない」と思うことはあります。
でも当時の私は、自分が関心を持っている分野を学べて、とりあえず進学できるところに受かればいいと思っていました。
私にとっては、「すべての教科に追いつく」よりも、その時点で必要な勉強をするという形になっていました。
「全部追いつく」必要があるのかを考えてみる
不登校で勉強が遅れると、「休んだところを最初から全部やらせなければ」と思うこともあるかもしれません。
でも、必ずしも全教科をクラスと同じ進度まで戻すことだけが選択肢ではありません。
例えば、
基礎が抜けている場合
→ 分からなくなったところまで戻って学ぶ
高校受験を考えている場合
→ 志望校や入試に必要な内容を確認する
まだ進路が決まっていない場合
→ 基礎的な部分や取り組みやすい教科から始める
というように、状況によって優先する内容は変わります。
特に英語や数学などは、それまでに学んだ内容を使って次へ進むことも多いので、分からない部分があれば少し前まで戻った方が理解しやすいことがあります。
一方で、すべての教科を同じように取り戻そうとすると、勉強量が大きくなりすぎてしまうこともあります。

「どれだけ遅れている?」だけではなく、「これから何が必要?」という視点も持っておくと、取り組む範囲を考えやすくなると思います。
まだ勉強する状態ではないときは?
親御さんが勉強の遅れを心配していても、子ども自身はまだ勉強に向き合える状態ではないこともあります。
私自身、不登校だった頃は、勉強の遅れを心配する以前に、勉強そのものに関心がない時期がありました。
そんなときに一気に遅れを取り戻そうとしても、なかなか難しいことがあります。

まずは、「今は勉強について考えられそうかな」と、子どもの状態を見ることも大切だと思います。
「そもそも勉強しようとしない」「勉強させた方がいいの?」と悩んでいる方は、こちらの記事で詳しくお話ししています。
📕不登校の子が勉強しない…どうする?甘えと決めつける前に親ができること

不登校から勉強を再開するときは何から始める?
子どもが少しずつ勉強に向き合えそうになったら、いきなり遅れている範囲を全部やるのではなく、現在地を確認するところから始める方法があります。
今どこまで分かるのかを確認する
「中学2年生の途中から休んだから、中2の途中から」と学年だけで決めなくても大丈夫です。
学校へ行けなくなる前から苦手だった単元があるかもしれません。
反対に、授業を受けていなくても自分で理解できるところもあります。
教科書や問題集などを見ながら、「ここまでは分かる」「このあたりから難しい」と確認すると、始める場所が見つけやすくなります。
分からなくなったところまで戻る
今の学年の問題が分からないときは、前の学年まで戻る方法もあります。
中学3年生だからといって、中3の問題だけをやらなければならないわけではありません。
必要なら中1、中2の内容まで戻る。
基礎が分かることで、その先の内容が理解しやすくなることがあります。
「戻る=遅れる」と考えるのではなく、これから進むために必要なところを確認するというイメージでいいと思います。
取り組みやすい教科から始める
久しぶりに勉強するときに、最も苦手な教科から始めると、それだけで負担が大きくなることがあります。
好きな教科や比較的得意な教科など、「これならできそう」と思えるものから始める方法もあります。
勉強から離れていた子にとっては、内容だけでなく「また勉強してみよう」と思える感覚を作ることも大切です。
最初から長時間やろうとしない
勉強の遅れが大きく見えると、「毎日何時間もやらないと間に合わない」と思ってしまうかもしれません。
でも、最初から大きな目標を立てると、始めること自体が負担になる場合があります。
最初は、「今日はこのページだけ」「この問題だけやってみる」という小さなところからでも構いません。
続けられそうなら、少しずつ量を調整していけばいいと思います。
進みたい道が見えると、勉強の意味が変わることもある
私自身、最初から自主的に勉強していたわけではありません。
中学生の頃は、塾の宿題だからやっていた部分もありました。
でも受験が近づき、自分なりに進路を考えるようになると、そのために必要な勉強をするようになりました。
「勉強しなさいと言われたからやる」のと、「自分が行きたいところへ行くために必要だからやる」のでは、少し意味が違います。
もちろん、進路が決まったからといって、すべての子どものやる気が出るとは限りません。
それでも、「何のために勉強するのか」が本人の中で少し具体的になることで、勉強に向き合いやすくなることはあると思います。

高校進学を考え始めたら、「どんな学校なら通えそう?」「そこへ行くには何が必要?」と、勉強だけではなく進路そのものを一緒に考えていくのも一つの方法です。
勉強は後からでもできる
私は、勉強はいつからでもできると思っています。
中学生のときにできなかったことを、高校生になってから学ぶこともできます。
高校生のときに知らなかったことを、大人になって勉強することもできます。
学校の勉強以外から学べることもたくさんあります。

だから、「今、勉強が遅れている=もう手遅れ」と考えなくてもいいと思います。
一方で、その子が希望する進路のために一定の学力や学習が必要になることもあります。
そんなときは、「みんなに追いつかなければ」ではなく、「自分が進みたい道のために、今は何が必要だろう」と考えてみる。
今できることと、これから必要になることを分けて考えると、少し見通しを持ちやすくなると思います。
勉強以外の選択肢もありますし、勉強を始める時期も一人ひとり違います。
その子に合ったタイミングや方法を探していくことが、その子らしい進路につながっていくのではないでしょうか。
まとめ|「みんなに追いつく」より、その子に必要な勉強を考える

不登校で学校を休んでいると、勉強の遅れが心配になりますよね。
でも、「追いつく」の意味は一つではありません。

大切なのは、
- 今どこまで分かっているのか
- これからどんな進路を考えているのか
- そのために何を学ぶ必要があるのか
を整理していくことだと思います。
私自身、中3以降は学校の授業をほとんど受けていませんでしたが、塾で必要な勉強をしながら高校受験につなげました。
その後も、大学受験では自分に必要な科目を中心に勉強しています。
もちろん、これは私の場合です。
一人ひとり、現在の学力も目指す進路も違います。
今は勉強に向き合えないなら、その状態も見ながら考える。
始められそうなら、分かるところから少しずつ進める。
進路が見えてきたら、そのために必要な学習を整理する。
「みんなと同じ」に戻ることだけではなく、その子がこれから自分らしく進むために必要な学びを一緒に考えていけたらいいのではないでしょうか。
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運営者プロフィール
管理人:Karan(臨床心理士/発達障害・元不登校当事者)
自身も不登校を経験し、現在は臨床心理士として子どもや保護者と関わっています。
「ありのまま日和」では、不登校の子どもと家族が、それぞれ自分らしく歩いていくためのヒントを、当事者としての経験と心理職としての視点の両方から発信しています。



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